in the flight




相合傘

    肉体的な表現はありませんが、リバ表現あります。居酒屋→相合傘と、話は続いています。(でも短いです)



店を出ると、雨はまだ止んでいなかった。
むしろ、来た時よりも酷くなってる様子で。
降り掛かる雨が冷たくて、泣き言言いたくなる位に寂しくなった。

家までの道を歩いていると、背後に人の気配を感じて振り返ったら
傘を差したテンゾウが立っていた。
暗い上に、激しい雨のせいで表情が伺えない。

「・・・テンゾウ」

「風邪、ひきますよ。・・・先輩の事だから、多分濡れながら帰るだろうと
思って・・・傘、借りてきました」

そう言って、手に持っていた傘を俺に差し出した。

「要らない。・・・家、すぐそこなの知ってるでしょ?
それに、雨にちょっと濡れたぐらいで風邪なんか引かない」

傘なんて口実だ。俺に話があるなら、そう言えばいいのに。
するとテンゾウは差し出した傘を引っ込めて、溜め息を吐いた。

「そうですよね。・・・要らぬ心配してすみません」

そう言って、テンゾウはくるりと背を向けようとする。
え、え?俺に話があるんじゃないの?
行っちゃう訳?

「ちょっと待って」

慌てて、テンゾウの手首を掴んで力任せに引き寄せたら
驚きの声と共に、テンゾウの動きが止まる。
俺はその体を、そのまま抱きしめた。

「せ、先輩?」

ポツポツと、傘に落ちる雨音が頭の上で響く。

「お前ね・・・任務の時は関心するほど冷静なのに、なんなのよ。
俺の話も聞かないで、馬鹿みたいに勘違いしてさ」

そう言った途端、テンゾウがまた驚いた声を上げて
俺の顔を覗こうとしている。
抱きしめている腕を緩めて上半身だけ離してやると
噛み付かれそうな勢いで顔を近づけられて、思わず後ずさりしてしまった。

「ちょ・・・落ち着いてくれる?」

「落ち着いてなんかいられません。勘違いって・・・どういう事ですか」

そんな真っ直ぐな目で見つめられたら、
お前のケツ、掘ってみたいと思ってただけ。なんて馬鹿みたいで言えない。

「先輩・・・!」

俺がなかなか言わない事に、痺れを切らしたテンゾウが
ムッとしたような表情を浮かべている。

「いや・・・あのね。改まっていうのが恥ずかしいから、遠回しに言うけど。
・・・俺、テンゾウとしかセックスしたくないから。ていうか、しない」

テンゾウは、少し首を傾げていたけど。

「・・・!」

ハッと気付いたような顔をして、ぶるぶると頭を小さく震わせた。
あ、猫みたい。

「まさか先輩・・・僕の・・・」
「・・・あはは。や、なんとなく思っただけだから」

その様子に、苦笑いを浮かべるとテンゾウはがっくりと肩を落とした。
そして、しばらくしてから顔を上げたかと思うと、俺の腕を掴んで急に歩き始めた。

「えっ・・・ちょ、何!」

テンゾウの顔を覗き込むと、やけに真剣な顔をしていた。

「わかりました。そんなに言うのなら・・・先輩に、僕の”初めて”をあげます!」
「へっ?」
「先輩。・・・痛く・・・しないで下さいね」

そう言って・・・頬を赤く染めながら、照れた様子で俺をちらりと見る。
それが、あまりにも、あんまりで。
いやまぁ・・・かわいいっちゃ、かわいいんだけど。
いつもと様子が違いすぎて、ちょっと怖い。

余計な事言っちゃった・・・?俺。

「いや・・・テンゾウ。いいよ、いい」
「いえ!覚悟はできましたから・・・!や、優しくしてください・・・ね?」



終わり






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えっと・・・雑な文章ですみません。あと、最初に考えてたネタは、こんなんじゃなかったんですけど。けど、書いてる途中で、最後の「優しくして下さいね?」を頬を染めながら言うテンゾウを、どうしても書きたくなってしまって。居酒屋とか相合傘とか、お題の意味が無い・・・。(滝汗)無理矢理な感じになっちゃいました。うー。次はちゃんとラブラブなのを書こう・・・。