in the flight




粋狂





月が明るく照らす夜はソワソワと落ち着かない。
カカシ先輩も例外では無いらしく、珍しく酒を買い込んで突然僕の家へ押し入って来た。
もうすでにこの時点で酔っぱらって足下が覚束ない。やれやれと僕は思いながら、
先輩の体を支えると、ん〜とかあ〜とか訳のわからない事を言いながらも、
ぐしゃぐしゃになったその顔に満足そうな表情を浮かべた。

「先輩、酒臭いですよ」
「いちいちうるさい男だね、お前も」

と、呂律の回らない口調で言われたら、これからこの酔っぱらいを相手にしなきゃ
いけないのかと思うと、うんざりした。

「はいはい。うるさい男ですよ僕は」

そう言って先輩をソファにどさっと座らせてから、グラスを二つ台所の戸棚から
取り出し、冷凍庫から氷を取り出し適当な鉢に入れ、テーブルの上に置いた。
そして、僕も先輩の隣に腰を降ろした。

「じゃあ飲み直しましょうか」
「・・・ぉえっ?」

と、先輩は僕がそう言うとは思わなかったみたいで、間の抜けた表情で僕をじっと見ている。
いつもならここで出て来るのは水だったりするもんだから。
でもそうした場合、なかなか僕の言う事を聞いてくれないからかなり疲れるし、面倒くさい。
この際もう酔いつぶれるまで飲ませたほうが、楽だと思った。

氷をグラスに移し、先輩が持ってきたウィスキーの栓を開け、二つのグラスに注いだ。
アルコールの匂いがふわりと立ちこめる。
マドラー代わりに自分の指先から木の棒を出し、カランカランと氷をかき回して
先輩に渡そうとすると、先輩はグラスに、というよりは僕の指先に釘付けだった。

「先輩、どうぞ」
「あっ・・・あぁ」

動揺した様子の先輩を見て、僕は先輩が変な想像をしてるんじゃないかと確信した。
その証拠に、今僕が自分のグラスの氷を指マドラーでかき回してる様子をチラチラと見ている。
僕は片方の腕を先輩の肩に回して、自分に引き寄せた。

「ん〜、何、テンゾウ。迷惑そうな顔してたのに」

と言いながら、先輩はくたりと僕に体を預けた。

「そんな顔をしたつもりは無いんですが。それより、僕の所に来たって事は
 何か理由があったんでしょう」
「・・・嫌な奴だね、お前。恋人に会いにくるのに、理由がいる訳?」
「いや、そういう事じゃなくて」

と、程よく氷が溶けたウィスキーのグラスを持ち上げて、ごくりと飲み干した。
濡れた指先の木の棒からウィスキーが滴り、それを先輩はじっと見て喉を鳴らした。

「・・・先輩。これ、欲しいんですか」

と、僕が指摘すると酔って紅潮している顔を更に赤くして、首を横に振った。

「そんな訳ないだろ、馬鹿」
「本当に?」

グラスをテーブルに戻し、否定する唇に指マドラーを押し当てると
きつく閉じた唇もすぐに開き、マドラーの先を口に含んだ。

「ほら、欲しいんでしょう。舐めてみて下さいよ」
「んん・・・っ」

指先を軽く上げると、追いかけるように顎先を上げて
赤い舌でマドラーを舐め上げた。
先輩を肩に抱いたまま、耳元に鼻先を埋めて舌で首筋を舐めると
身を捩らせて、僕の腰にぎゅっとしがみついた。

「下のお口にも挿れてあげましょうか」
「んっんんんっ・・・」
「何言ってるのかわかりませんけど、いいって事で・・・」

肩を抱いていた方の手で先輩の腕を掴み、後ろに引き寄せて
先輩をうつ伏せに押し倒した。

「ちょっと!強引すぎでしょ。大体、そんな乱暴にしなくても逃げないよ」
「そうですか?はは。じゃあ、逃げないで下さいね」

僕は先輩のズボンを下着ごと引き摺り降ろし、尻を剥き出しにした。
先輩の体を移動させて、ソファの端に上半身だけ乗せて、床に膝をつかせた。

先輩と言えば何やら上機嫌で、声を上げて笑っている。
酔っぱらいは面倒だけど、こういう時には色々と寛大になってくれるから助かるというか。
自分がどんな格好させられてるか、よく理解できていないんだろう。

先輩の尻の割れ目に顔を近づけ、両手で肉を割り開き
その中心部に舌を押し当てた。何度か下から舐め上げると、酒で酔っているせいか
すぐに入り口は緩み、容易に中に潜り込ませる事ができた。
先輩は気持ち良さそうに声を上げて背中を反らし、尻を突き出す。

「あ、あぁ・・・気持ちいい、テンゾウ」
「これ、挿れてほしいですか?先輩」

そう言って、先輩の顔の前に指マドラーを差し出すと小さく頷き、
強請るように振り返って僕を見上げた。
テーブルの上のウィスキーが入ったままのグラスを引き寄せて、
見せつけるようにカラカラと氷をかき混ぜると、先輩は物欲しそうな目でそれを見る。
僕はそのグラスを手にとり、氷をひとつ口に含んだ。
アルコールの味と香りが口の中に広がる。

そしてそのまま先輩の中へと、押し込んだ。緩んだ入り口は簡単にそれを呑み込んでしまう。

「あっ・・・うっ・・・冷たい・・・っ!嫌だ、出して!」

上半身をバタバタとさせて不快感を訴える。

「もうひとつ挿れてみましょうか」

そう言って、グラスを持ち上げ再度、氷を口に含んだ。
さすがに二度目は警戒してか、もぞもぞと逃げようとする先輩の腰を押さえ付けた。

「逃げないって約束しましたよね」
「したけど・・・!嫌・・・だ!」

まだ逃げようとする先輩に構わず、もうひとつ氷を中に、ぬるりと挿入させた。

「ふ・・・あぁ・・・」

そして氷が溶けてしまう前にと、先輩が欲しがっていた指マドラーを
ウィスキーで充分浸してからゆっくりと差し込むと、腸の中で二つの氷とぶつかった。

「あっ・・・あぁ・・・」
「よく掻き混ぜないと、凍傷になっちゃいますからね」

そう言って、ぐるぐると指マドラーで先輩の中を掻き混ぜた。
ぴちゃぴちゃという水音に紛れ、氷がぶつかる音が先輩の中から聞こえてくる。
二つの氷がマドラーで掻き混ぜられる事によって、腸壁が刺激されるらしく、
逃げようとしていた体も力が抜けていつの間にか喘ぎ声を上げていた。

「あっ、も、テンゾウ・・・やめて」
「気持ちよく無いんですか?」
「っ、そうじゃなくて・・・あぁ・・・、イきそ・・・!」

はぁはぁと体中を痙攣させて達した先輩の白い体は、さらに紅潮していて
ぐったりしたまま動かない。やっと酒が回ってきたのか。
氷と僕の唾液、マドラーに含まれた極少量のウィスキー。
微量とはいえ、直腸からアルコールを摂取したのと変わらないのだから。

本当なら酒を直接流し込んでも良かったんだけど、
あんなに物欲しそうな目をされたら、僕自身のマドラーを突っ込みたくなっても
仕方無いと思った。だから意識が無くならない程度に。

ズボンと下履きを少しだけ降ろし、深く紅潮した尻の割れ目の中心部に
硬く膨張した肉棒を押し当てて一気に押し込んだ。
ぐちゅっと音を立て、中から溶けた氷の水が勢い良く飛び出る。
いつもは熱い先輩の中が、今日はひんやりと冷たい。目眩がしそうだ。

「くっ・・・あ、あっ・・・んんっ・・・」

前触れもなしに貫かれた先輩は体を震わせ歯を食いしばった。
でも一度達してるせいか、すぐに感じ始めている。
僕は大きく腰を動かして何度も突上げた。
氷水が溜まっているせいで、いつもよりも緩んだその中に包まれていると、
溶けてしまいそうになる。頭がクラクラする。
冷たかった先輩の中も、いつのまにか灼けるように熱くなっていた。

「あっ・・・あぁぁん・・・テンゾウ、もっと!」
「っ・・・わかってます・・・!」

今度は腰を細かく揺すり、敏感になっている腸壁を刺激すると
ぶるぶると足を震わせて体を硬直させた。その瞬間に僕も締めつけられ
突然射精感を覚える。

「ふっ・・・あっ、も・・・イク・・・!」
「うっ・・・・っ、く・・・」

そして中に全て熱を吐き出して、ずるりと肉棒を引き抜くと
ぬるくなった水に混じり、白濁した精液がたらたらと零れ落ちた。
先輩を見ると大きく息を吐きながら、焦点の定まらない目で僕を振り返り手を伸ばしていた。

ベタベタの後始末は後でいいかと、先輩の傍に移動して
その手を掴み絡ませ、先輩と唇を重ねる。と、舌を噛まれた。

「痛っ・・・!」

慌てて唇を離すと、朦朧とした様子で「明日、腹壊したらお前の所為だからな」
と言い、くたりと意識を手放した。
「酔っぱらって僕の部屋に来た、あなたが悪いんですよ」
とはいえ、酔狂なのは自分だと思い直して、一人自嘲気味に笑った。



終わり








KNS10TKにて喜んで手を挙げた、木遁マドラーでエロ課題。お腐長より直腸吸収オッケー出たからこその、この話です。upするの、いつになるやらと思ってたのですが、マドラー熱が冷めないうちにと頑張りました。でも、なんかあんまりだったかな・・・文章力不足は許して下さい。文中の、「僕自身のマドラー」は、笑う方向でお願いします。。師匠、お腐長、そして股天地マスター。こんなんで勘弁を。お粗末でした。