in the flight




穏やかな日。
昼過ぎにはもう乾いた洗濯物を取り込んで庭に面した縁側で丁寧にたたむ。
風に乗って庭のキンモクセイの匂いがふんわりと流れ込んできて、ふと顔を上げて外を見ると
薄い雲がゆっくりと流れていた。
あの人は今日も僕の事を忘れ、任務に就いている。
ここ数日ほとんど会っていないものだから、カカシさんの事を思い出すと溜め息が出てしまう。

でもぼやいても仕方ないしと思って、また洗濯物をたたみ始めた時、庭をさっと何かが横切る。
僕は咄嗟に反応して身構えると、目の前に美しい銀色の毛色をした猫が現れた。
庭に猫が紛れ込んでくることはたまにあるのだけれど、こんな毛色の猫は初めて見る。
まるで先輩の髪の毛の色のよう。
「・・・おいで」
僕が声をかけると、そいつはその場所から僕のいる縁側に飛んできてきた。
そして、僕の膝に頭を擦りよせて目を細めている。
カカシさんだったりして。などと思ったけれど、そんな事があるはずないと思い直して
僕は苦笑いをして、猫の背中を撫でてやる。
「・・・おなかすいてる?」
小さい声で話しかけてみると、顔を上げて僕を見てからまた頭を擦りよせてくる。
どっちなのか、まるで分からないな。そう思いながらも、懐っこい猫がかわいくて
また背中を撫でてやった。
  ニャー・・・
小さい声で僕の顔を見て鳴いたかと思ったら僕の膝に上がってきた。
仕方ないなと思いながら、足をほおり投げて壁にもたれかかる。
たまにはこういう時間を過ごすのもいい。漂うキンモクセイの匂いと膝の上の
猫のぬくもりに、うとうとして目を閉じた。

肌寒さで目を覚ました。猫はいつのまにかいなくなっていた。
どこに行ってしまったんだろう。本当にカカシさんみたいな猫だったな。
膝枕してもらうのが好きな所も同じだ。
それよりも、毛布がかけられている事に驚く。縁側の窓も閉められていて
洗濯物も片付けられている。こんな事してくれるのはあの人以外、誰もいないから
僕は慌てて立ち上がり部屋の奥へ入っていく。
ふとこの部屋の向こうの寝室で物音がした。よく知っているその気配に、僕は胸が高鳴る。
ゆっくりと扉を開けると、今日洗ったばかりのシーツをベッドの布団に被せているカカシさんが
にっこりと笑いながら振り返った。
「起こす前にベッドの用意、しておこうと思って」
僕は頭が混乱する。今日いた猫は、カカシさんだったんだろうか?
「あの、カカシさん、今日・・・」
「ん〜?」
いやいや、まさかそんな事があるはずないだろ。大体、昼なんてまだ任務だったろうし。
「いつ帰ってきてたんです?」
「ん、さっき」
ほらやっぱり。そんな事聞いたら、頭がおかしいとか思われる。
「来たらお前、あんな所で寝てるから驚いた」
「あ〜・・・。はは。ちょっと」

とりあえずの会話を済ませてお互い話す事をやめる。
目の前にいるカカシさんを、早く抱きしめたくてどうしようかと僕は考えていて
カカシさんはそんな僕の様子に気づいてか分からないけど、ほんのりと顔を赤くして
目線を下に落とした。

「テンゾウ。俺、先にシャワー浴びてくる・・・」
カカシさんがそう言って顔を上げた。
「その前に、少しだけ」
僕はカカシさんに歩みより、その体を包み込むように抱きしめた。
体中でカカシさんの温もりを感じて、僕はやっと、ほっとした気持ちになった。
「任務大変でしたか?」
「んー・・・全然」
それは今日、抱いてもいいのかと知るための確認。

シャワーを浴びて、寝室の灯りを消して見つめあうだけで僕もカカシさんも熱くなって。
立ったまま交わすくちづけはいつもよりも深くて、会えなかった分だけゆっくりと何度も味わう。
唇を離して、カカシさんの服を脱がしてその首筋に唇を当てがうと、せっけんの匂い。
舌を這わしながら、きつく吸い付いて痕をつけていく。甘い吐息を吐き出しながら
カカシさんが僕のシャツの中に手を潜り込ませて、熱い熱を持った手の平で背中を撫で回す。
静かな部屋の中に、二人の吐く荒い息が溢れていた。
僕は手を伸ばしてカカシさんのきれいなお尻に指を滑り込ませる。
「っ・・・」
カカシさんの体がそれに反応して、体を軽く反らせた。お尻を撫でながら、もう片手で
ズボンを脱がせた。
「カカシさん。僕も脱がせてください」
そう言うと、僕の首に回してた腕を外して恥ずかしそうに少し微笑んで頷いた。

カカシさんのきれいな指先で、どんどん脱がされていく。
「・・・舐めてあげる」
「え・・・?」
僕の前にしゃがみ込んだカカシさんが、僕のズボンを下着ごと降ろすと
もう硬く反り返っている僕のものの先っぽを口に含んだ。
「っ!」
舌と手を器用に使って、先っぽとサオを刺激する。
「っ・・・カカシさん、ちょっと待って・・・」
僕は慌てる。だって、このままされてたら気持ちよくて先にイッてしまいそうで。
一回目はカカシさんの中に出したいのに。そう思って、カカシさんの肩に手を伸ばした。
「んっ・・・」
止めようとした事に気がついたのか、カカシさんが僕のを口の奥まで咥えこんだ。
熱い口内と、サオを這う舌の感触に目の前が白くなりかけて、思わず離そうとしていたはずの肩を掴み、
押さえつけてしまう。
「っ・・・カカシさん・・・」
カカシさんのきれいな口が、僕のものを咥えているのがとても卑猥だった。
その上、僕を見上げる目が熱くてたまらない。
「・・・気持ちいいです」
そう言ってカカシさんの髪に手をやると、ゆっくりと顔を動かして
くちゅくちゅと音を立てながら出し入れを繰り返し始める。
「・・・っ」
僕のを包み込む唇と、軽く当たる歯の刺激がたまらなくてどんどん腰が熱くなってきた。
「カカシさん・・・っ、出る」
その刺激に我慢ができなくなり、カカシさんの頭をぎゅっと掴んでその喉の奥に、溜まっていた精液を
たっぷりと出してしまった。
体中の血液が逆流して、心臓がバクバクと音を立てる。

ケホケホと、咽せかえているカカシさんを僕は抱きしめた。
「・・・濃すぎ!」
そう言って、僕にぎゅっとしがみついたカカシさんがとても可愛くて、
そのまま押し倒して唇を奪う。その口内に舌を侵入させて、まだ残っている自分の精液をきれいに絡めとる。
「ごめんなさい。・・・だからちょっと待ってって、言ったんです」
ほんのりと頬を紅潮させているカカシさんを見おろして、その顔をまた見つめる。
「カカシさんのも、してあげますから」
「・・・うん」
恥ずかしそうな顔をしながら僕を見上げる顔が、とてもかわいい。
体を移動させて、カカシさんの下腹部に顔を持っていくと、もう先走りでそこはぐちゅぐちゅになってた。
「僕の舐めて、感じてたんですか?」
「ち、違うっ・・・」
そう言いつつも、少しぺろっと先っちょを舐めただけで、体をくねらせて反応する。
「カカシさんかわいい」
そう言って、根元まで咥えこんだ。
「やっ・・・!!」
カカシさんが、僕の頭をぐっと引き離そうと押してくるんだけどその反面、体をくねらせて
足を大きく開き、腰を浮かせて僕がフェラチオしやすいようにしている。
本当にえろくて感じやすい人だ。

わざと音を立てて出し入れをしながら、カカシさんの穴に指をゆっくりと挿入させた。
しばらくしていなかったから、なかなかにそこはきつくて指ひとつすら中々進まない。
「っ!・・・テンゾ・・・ゆっくり、して」
カカシさんも痛い様で、ほんの少し顔がひきつっていた。僕は唇を離す。
「四つん這いになってください」
唾液でべとべとの口元を拭ってそう言うと、小さく頷いた。もぞもぞとゆっくり動いて
四つん這いになる姿が愛おしい。カカシさんは恥ずかしそうに、目の前にあった枕にぎゅっと抱きついて
そこに顔をうずめて僕を振り返る。
「痛くしないでね」
不安そうに言うカカシさんがかわいくて、表情が緩む。
「当たり前です」
そう言って、両手でお尻の割れ目を開いて舌で回りを舐めた。そして、ゆっくりと舌を侵入させてみる。
相変わらずきついけど、舌に力を入れて押し広げた。
「あぁぁんっ・!」
舌を出し入れさせると、くちゅくちゅと音がした。幾らか広がったようだったから
再度指を挿れてみると音を立てながら、中に飲み込まれていった。
「あっ…ぁぁ」
カカシさんを見ると、枕に顔を埋めながらぎゅうっと目をつぶっている。その顔を見ると
もう痛くはないようだった。
中で指を動かして壁を刺激すると、大きく体をくねらせて喘いだ。
「あぁぁっ・・・」
もうそろそろいいかな・・・。

ゆっくりと、まずは先だけを挿入させる。
「っ・・・!」
カカシさんが顔をぎゅっとしかめた。やっぱりまだ早かったかな。
「・・・痛いですか?」
「平気・・・だから、続けて」
いやいや、平気じゃないでしょ。めちゃくちゃきつくて、無理に挿入すると切れてしまいそうだ。
僕がゆっくりと腰を引くと、がばっと振り返って僕を見る。
「やっ・・・抜かないで」
必死の顔で頼まれてしまったら、僕は断る事ができなかった。
「・・・痛いですよ?」
痛くしないでって言ったのに。
「痛くないし、テンゾウがする事だったら俺・・・」
カカシさんのその言葉に目眩がして、思わずぐっと押し込んでしまう。
「やあぁぁっ・・・!」
痛そうな声を上げるけど、枕の端をぎゅっと握りしめて堪えてるカカシさんが愛おしくてたまらなくなる。
そのまま後ろから、抱きしめた。しばらくそのまま、カカシさんが落ち着くまで抱きしめる。
「・・・テンゾウ、動かして、いいよ」
カカシさんが、ちらっと僕を見上げて言った。
「痛かったらすぐに言ってください」
僕はそう言って、ゆっくりとゆっくりと動かす。きつかったけど、段々とスムーズに動かせるようになってきて
カカシさんが小さく可愛い声を出しはじめた。
「っ・・・テンゾ?」
カカシさんが、不意に僕を呼んで体を捻らせて振り返った。そして、腕を下から伸ばして僕の首に絡める。
「抱きしめて」
僕は可愛くて仕方ないカカシさんに微笑みながら、体位を変えて上から抱きしめてあげる。
「俺、こっちのが好き」
「知ってますよ」
抱き合って、顔も見れて、キスだってできるから。僕もこれが一番好きだ。
にっこりと微笑みあってから、キスをして。また腰を動かし始めた。体中でカカシさんを感じて、
そのスピードが段々早くなって。キスをしているカカシさんの口から、喘ぎ声が漏れだす。
奥まで突くと、気持ちがよくって僕も息が荒くなり唇を離した。
「あっあっ・・」
カカシさんが僕の肩をぎゅっと掴んで、目を閉じて喘ぐ。
「テンゾウ、もう・・・」
途切れ途切れの声で、僕に伝える。僕ももうイキそうだった。
「うん・・・いいですよ」
そう言って僕は強く腰を打ち付けて、一緒に達した。

楽な任務だったとは言っても、それなりに疲れはやっぱりある。
カカシさんはぐったりとベッドに体を沈めて、僕に抱きついて離れない。
今日の昼間の猫のように、すりすりと顔を僕の胸にしたりして。
やっぱりあの猫、カカシさんだったりして。なんて思いながらその様子を見守る。

そしてその後、うとうととしかけた僕に、カカシさんが言った。
「そういえば・・・庭のキンモクセイ、いい匂いしてたね」