in the flight




          

休日の昼下がり








久しぶりの休日。
昨日は明け方まで抱き合っていたから
先輩はまだぐっすりと眠っている。

そのかわいい寝顔を見ていると
起きる気も失せてしまう。
僕はこの時間がすごく好きだ。
静かな顔で、すぅすぅと無防備な寝息を立てながら
気持ち良さそうに眠る先輩を、ずっと見ていたいと思う。

でもそろそろ起きて、先輩の為に朝ご飯の支度をしないと。
といっても、もうすっかり昼も過ぎてしまっているんだけど。

先輩を起こさないようにベッドから降りて顔を洗いに行く。
歯を磨きながら、締まりのない自分の顔を鏡で見ると
首元にまた沢山の赤い跡が増えていた。

普段の服では隠れる事をいいことに、
「テンゾウは俺のものだから」とか言って
決まって跡を付けられる。
嬉しいんだけど、一人で見ると恥ずかしいんだよね、これ。

とは言いながらも、僕も先輩の脇腹や腰の辺りに
つい跡を付けてしまうんだけど。


       *


顔を洗い終えて台所へと入る。
蕪の味噌汁とお浸し、厚揚げを焼いたものと
土鍋で炊いたごはん。

用意が出来た所で、先輩を起こしに行く。
もう一度ベッドに入って、まだぐっすりと眠っている先輩を
優しく抱きしめる。
先輩の白い頬に、自分の頬を合わせると
ほんのり先輩のほうがあたたかくて気持ちがいい。

「・・・ん」

目が醒めた先輩が、寝ぼけているのか
僕にぎゅうっとしがみつくように、抱きつく。

「テンゾウの体、冷たい」

そう言って。

「暖めてくれてるんですか?」

寝起きの先輩も、とにかくかわいい。
こうやって抱きしめ合ってると、いつまでも
ベッドから出れそうにないような気がするけど、
それでもいいやと思ってしまう。

「朝ご飯できましたよ」

「ありがと。でももうちょっとこのまま・・・。体、重い」

僕は加減を知らないから。
昨日も任務帰りの先輩を、めちゃくちゃに抱いてしまった。
かわいく喘ぐ先輩を見たら理性を押さえられなくなるんだ。

「ごめんなさい」

「ん〜ん。テンゾウだから、いい」

それに、先輩がいつもそう言ってくれるから余計に加減ができない。

「それよりテンゾウ、忘れてるでしょ」

「あ・・・。そうですね。おはようのキス、でしたね」

「いちいち言わなくていいよ・・」

恥ずかしそうに言った先輩を少しだけ離して、
目を閉じた先輩にキスをした。
先輩を起こす時はキスでっていう、なんとなくな決まり事。
キスをしたらなんとなく恥ずかしくなって、照れ隠しで微笑むと
先輩も同じように微笑んだ。

「朝ご飯食べよっか」


        *


「いただきます」

手を合わせて、テーブルに向かい合って座る。
先輩の箸の持ち方がきれいで、いつもじっと見てしまう。
先輩が食べている所を見るのも好きだ。
なんというか、人が何かを食べるという行為は
すごくエロティックだと思う。
だからこそ、先輩には僕が作ったものを
食べてもらいたいって思う。

「蕪、おいしいねぇ。口のなかで溶ける」

先輩が独り言のように言って、幸せそうに笑った。

なかなかこうやって過ごす時間が取れないから
何でもないようなこの時間は、何にも代え難い。
抱き合っている時よりも、しみじみと先輩が好きだなぁって
実感できるから、毎日がこんな平和だったら
どんなにいいかと、心の底から思う。

「どこか出かけますか?」

「たまには散歩でもする?あぁでも、任務続きだったし
 家でのんびりするのも悪くない」

散歩もいいけど、僕も今日は家で先輩とまったり過ごしたいな。
先輩と話したり、手をつないだり、キスしたり抱き合ったり、沢山したいから。
こんな時間にこそ、まだまだ僕の知らない先輩を知れたりして、
そしたらきっと、もっと先輩を好きになるんだ。
で、夕暮れ頃には夕飯の材料を買いに行って
一緒に夕食を作ろう。

誰にも邪魔されないで、二人だけで過ごそう。






   ・・・駄文で申し訳ありませんでした。。