in the flight




          

風邪








「大丈夫ですか?」

何度もそう言って覗き込むテンゾウの顔は心配そうで
たかだか風邪ぐらいなのに、と思いながらも
心配してくれる人がいるって事は幸せな事だなと思う。

「大丈夫だからさ、もう帰っていいよ。お前も退屈でしょ」

それにせっかくの休みを、俺の看病なんかで一日潰すなんて
もったいないし、テンゾウに悪い。
丈夫なテンゾウだから風邪が移るって事は無いだろうけど、
万が一って事もあるしな。

「退屈ならしませんよ。それに、休みの日ぐらいは
先輩と一緒にいたいですから。だから、今日は帰りません」
「・・・そ」

と、そんなに優しい顔で言われたら何も言えなくなる。
ぼんやりとした頭でテンゾウを眺めていると
何を思ったのか、テンゾウがベッドに入ってきて
驚き戸惑ったままの俺を抱きしめた。

病人にこんな事する奴あるかと、文句を言ってやろうと思ったけど
不思議とそんな気持ちは一瞬で無くなり、逆に嬉しいと思った。
ほっとするなぁ、こういうのって。
体のあちこちが痛かったのに、痛みが和らいだような気がする。

「そういえば先輩。薬は飲みましたか?」
「大した事ないから飲んでないよ」

熱もそんなに無かったし、ちょっと寝れば治ると思ってた所に
テンゾウが訪ねてきたんだった。

「駄目ですよ。ちゃんと、飲んで下さい」
「あっ・・・待って」

テンゾウが俺から腕を外そうとした時、反射的にその背中に
しがみついてしまった。
するとテンゾウは固まってしまって動かない。

「先輩・・・そんなに僕と一緒にいたいんですか?
帰れって言っておきながら」
「そうじゃなくて、無意識に・・・」
「無意識に?」

嬉しそうな声でテンゾウが言って、俺を組み敷いた。
顔は笑ってるけど、目がぎらぎらしていて怖い。
まさか、病人の俺を襲おうとか・・・考えてない、よね?
そんな俺に構いもせず、テンゾウの顔がゆっくり近付いてくる。
ヤられる・・・と思いギュッと目を瞑ると、額にテンゾウの
唇が押し当てられて、すぐに離れていった。

あ、あれ?
恐る恐る目を開くと、テンゾウがにっこり笑った。

「薬を取ってくるだけですから、我慢して待ってて下さい」
「・・・ん」

そしてテンゾウはベッドから出て行ってしまった。
勘違いした事が恥ずかしくて、布団をすっぽりと被った。
テンゾウってそんな事する奴じゃないのに、恥ずかしい。

組み敷かれた時に反応して大きくなったものを収めようと
布団の中で必死に抑えていたら、いつの間にか戻ってきたテンゾウに
布団をめくられてハッと顔を上げた。

「せ、先輩・・・何してるんですか」
「こっ、これは・・・」

言い訳を探そうにも思い浮かばないでいると、
赤面していたテンゾウが思い立ったようにベッドに腰を降ろして
布団の中に上半身を潜り込ませた。
そして、股間を抑えてる俺の手を避けて、下着ごとズボンを降ろす。
テンゾウが何をしようとしているのか、考えなくても想像できた。
さっきテンゾウに見られた瞬間に萎えてしまったのに、
またすぐに腰に熱が集まりはじめた。

「テンゾウ、いい・・・っ」

そう言ってテンゾウを押し退けようと手を伸ばしたら、
それよりも先に咥えられてしまって体の力が抜けた。
みるみるうちにテンゾウの口内で膨み、そして少しの刺激で
あっという間に射精してしまった。その時間、たったの三分。

「すっきりしましたか?」

と言うテンゾウのほうが、清々しい顔をしている。
なんか俺だけ盛ってるみたいでさ、嫌なんだけど。

「お前ね・・・。こういうの、やめてくんない」
「嫌でしたか?先輩風邪引いてるし、いつもみたいに時間をかけたら
 先輩疲れちゃうかなって思ったので」
「はぁ・・・もう、いい。疲れたから、ちょっと寝る」
「拗ねないで下さいよ、先輩」

テンゾウがもぞもぞと這い上がって、さっきみたいに俺を抱きしめた。

「拗ねてなんかないよ、子供じゃないんだから」
「でもちょっと拗ねてるでしょう。気付かなくてすみません。
 あんなのじゃ、物足りないんですね?」
「そんなんじゃない・・・って、人の話を聞けって・・・あっ・・・あぁん」

   ***

と、結局いつも以上に盛上がってしまって
きっちりと俺の風邪が移ってしまい任務に出れなかったテンゾウは、
案の定、火影様に大目玉を喰らうはめに。
ま、自業自得ってやつだと思いながらも、ちょっと可哀想だから
見舞いにでも行ってやろうかな・・・。




おしまい




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