in the flight





    体 温




         一話完結。下ネタ?エチシーンは無しですが・・。






今日はとてもさむくて、肌の露出が多い暗部服が
この季節は本当に嫌に思う。

任務の帰り道、僕が前を走っていると
後ろにいた先輩が僕の隣に並んだ。

「ねぇ、そんなに急いで帰らなくてもいいでしょ」

そう言われて、僕はスピートを少し落とした。

「すいません。いや、寒いから早く帰ったほうがいいかと思ったんですけど」
「それも分かるんだけど、ちょっと休憩したいな。疲れた。寒い」

先ほどの戦闘でチャクラを使いすぎたらしく、
確かに元気は無さそうではある。
でも・・・あれ?そんなにチャクラを消費する術なんて
使ってたっけと、僕は首を傾げながら答える。

「休みますか?といっても、寒いですから
 余計に体力を消耗してしまうかもですが」
「それなら、あれ出してくれたらいいでしょ。アレ」
「・・・先輩。あれは目立ちますから」
「ちっちゃいのでいいから。ね?テンゾウ、お願い」

ふぅ・・・。
先輩にお願いされると滅法弱い僕。
僕だって、それなりに疲れてるんですけどね・・・。

「わかりました」

立ち止まって、仕方なくそう答えた。
惚れた弱みなのか、なんなのか。
疲れたとか言われると、つい甘くなってしまう。

「木遁四柱家の術・・!」

印を結び、術を発動させると地面から木の柱が伸びて
みるみるうちに家が完成した。
そして小さいけれど、先輩の為に防寒対策はばっちりの構造にした。

「テンゾ、ありがと」

先輩は満足そうに微笑んで僕に抱きつき、ご褒美のつもりなのか
頬と唇にかわいいキスをくれた。

「・・・先輩、襲いますよ?そんな事してたら」
「嫌〜!テンゾウのエッチ!」

先輩は大げさにそう言って、僕の肩を強く叩いてから
自分の体をぎゅっと抱きしめている。
・・・いい大人の男が何してるんですか。

「・・・早く入りましょう、先輩」

先輩のこういうノリには付いて行けない。
本当に疲れてんのか?この人は。
僕はその手首を掴んで、家の中へと引きずり込んだ。

「ああんっ、テンゾウ強引!いやん」

・・・何が、いやんだよ。全く。

「どうぞ休んで下さい。僕は起きてますから」

どさっと部屋の中央に僕は座って、先輩を見上げると
いかにも僕の態度が面白くなさそうな表情をしていた。

「・・・テンゾ、冷たい」
「あぁもうっ!ごめんなさい僕が全部悪かったですごめんなさい。
 だからもう機嫌直して、早く休んで下さい」

僕だって疲れてない訳じゃないんですからね。
ツーマンセルの時は先輩のワガママが炸裂するから、
一緒にいれるのが嬉しい反面、ちょっと疲れる。

でも先輩は、僕が謝るとすぐにご機嫌になるから
とりあえずここは我慢して、謝るのが得策だ。

「・・・うん。俺も、わがまま言ってごめんね」

ほらね。僕はホッとして、大きく溜め息をつく。

「先輩も疲れてるんです。仕方ないですよ」

そして優しくそう言ってあげると、満足そうな顔で微笑む。

「テンゾウ優しいから大好き。膝枕してちょうだい?」

そう言って、僕の前にしゃがみ込んで
わざと意識してるのか、上目使いで僕を見る。
甘えたような顔が幼く見えてしまう。
僕は先輩の上目使いにも滅法弱くて、
つい何でもしてあげたくなってしまう。

「どうぞお好きに」

そう言って、膝を叩くと
嬉しそうに笑って僕の膝に頭を置いて
ぎゅっと僕の腰に抱きついた。

「・・あったかい」
「人の体温って、あったかく感じますよね」

僕の腰のあたりも、先輩の熱が伝わってきてほっこりと暖かい。
僕は荷物から毛布を取り出して、先輩の体にかけてあげた。

「そうなんだけど、こうやってテンゾウに抱きついてるとね。
 ドキドキするから体の奥からじんわり暖かくなる」
「あぁ・・・そうですね。先輩を抱きしめてると、確かに
 あたたかくなりますけど」
「・・・けど?」
「えっ?いや、セックスしたらもっと体が暖まりますよって
 言おうと思いましたが、チャクラ切れかけですもんね」
「・・・冷静にそんな事言わないでくれる?
 でもテンゾウがしたいなら、俺・・・いいよ」

そう言って先輩は僕を見上げた。うるうるした目で、
なんだか先輩はその気になっているらしい。

こんな状態でセックスなんかしたら、それこそ帰るのが
遅くなってしまうから、するつもりはハナから無いんだけど・・・
どうしよう。しないなんて言ったら、また機嫌悪くなるかな。

「帰ってから、ゆっくり朝までしましょう。
 床だと痛いし、冷たいし・・・。だからその為に、
 ゆっくり休んで下さい、先輩」
「・・・うん。ありがと、テンゾウ」

なんだか僕、先輩をうまく丸め込む方法を、最近やっと分かってきた。
僕の意のままになってる気がして、なんだか心地いい。

「でも・・寝る前に、キスして?」

そう言って、先輩はもぞもぞと這い上がり、目を閉じた。

「はい。おやすみなさい、先輩」

僕は軽いおやすみのキスのつもりで、唇を合わせたら
両手で頭を固定されて、強引に先輩の舌が僕の唇を割って入ってきた。

「っ・・・っ!」

驚いて離れようとしても、僕を逃がしてくれる訳は無く。
諦めて、舌を絡ませあっているうちに僕の素直なモノが反応してしまい、
どうにも押さえきれなくなってしまった。
それに気付いた先輩が、その僕のモノを衣服の上から
ゆっくりと撫で上げながら唇を離した。

「テンゾウのくせに生意気。俺を言い包めようとしたって無駄だからね」

先輩には僕の考えなんて、全部お見通しだったって訳ですか・・・。

「ごめんなさい・・・でも僕は先輩の体を思って・・」
「うるさい。集中してよ」

そう言ってもう一度、唇を合わせてお互いの服を脱がした。
先輩、チャクラ切れかけとか嘘だったんじゃ・・・と思うくらい、
いつになく激しく舌を絡めてくるから、どんどん体が熱くなって
頭がぼんやりとしてくる。

「・・・テンゾウが悪いんだからね、あんな事言ったんだから」
「え〜!僕のせいなんですか・・?先輩の意地悪・・・」

一瞬でも優越感に浸った僕が甘かった。
先輩を言い包めるなんて、やっぱり出来そうにないかも。

「熱いの、沢山ちょうだいね」

小悪魔みたいに笑って、先輩の熱い体が僕の体に纏わりつく。
その熱に浮かされたように、結局そのまま朝までお互いの体を求めあった。


      *


で・・・。疲れたと言ってた割には、かなり元気だった先輩は
帰る頃になってもまだ元気で、結局頑張ってしまった僕の方が
へとへとになってしまい、重い体を引きずるようにして里に帰った。

「テンゾウのおかげで、体暖まったみたい」
「そりゃ・・・よかったですね・・(・・・鬼)」




    *おわり*