in the flight


任務が長引いて里に帰るのが遅くなってしまった。先輩もう寝てしまったかな…。
任務の報告を済ませ、帰り道で思うのは先輩の事ばかり。
今日は夜空が澄んでいて、月がきれいだ。こんな日は無性に先輩に会いたくなる。
少し先輩の家に寄ってみようかな。

僕は行き慣れた部屋のドアを、お手製の合い鍵で開ける。
合い鍵が欲しいのに、おまえにはいらないでしょって言われるから
いつもこうやって、ストーカーみたいな事をしなくてはいけない。

ドアを開くと案の定、先輩は眠っている。寂しがりの先輩らしい狭い部屋。
ドアを開けると、すぐにベッドが見える。

中に入り、ベッドの脇にしゃがんで先輩の寝顔を見ると、顔をこちらに向けて、寝息を立てながらよく眠っている。
本当にきれいな人。僕はいつまでもこうやって眺めていたいと思いながら、その寝顔をしばらく眺めていた。


でもそろそろ帰らなきゃな…と、思いながらも目が離せなくて。

 瞼がかすかに動きゆっくりと開いた。
「……ん…来てたの…」

僕の気配で、起きてしまったようだ。

でも先輩は、勝手に上がり込んでいる僕に大して驚きもせず、眠そうな目をしながら僕をじっと見上げていた。

「すみません…どうしても会いたくて。先輩、明日の朝早いですよね。もう帰りますから」

僕がそう言うと、いつもの強気な先輩が嘘みたいに甘えた目を僕に向けている。

「帰んないで」

どうしたんだろう?こんな甘えてくる事なんて、滅多にないから僕は戸惑う。

「でも…任務帰りで…」

服とか汚れてるし、汗もかいてる。
「シャワー使ったらいいでしょ。テンゾウの寝間着ならあるんだし…ね?」

僕を見る先輩の目が、寂しそうだった。
たまにしか見せないその表情を見て、僕はあいている片方の手でその手を握りしめた。
「はい。…じゃあシャワー借りますね」

僕が答えると、ほっとしたように少しだけ微笑んだ。
あぁもう、こんな恰好じゃなきゃ今すぐ抱きしめているのに。

「すぐ戻りますから…寝ててもいいですよ」
僕は立ち上がり、先輩のさらさらの銀色の髪を撫でると先輩は目を閉じて、微笑みながら頷いた。
僕は急いで浴室に入り、シャワーを浴びた。
今すぐにでも抱き締めてほしそうだった先輩を思い出すと、僕は胸が熱くなった。 寝間着に着替えて、部屋に戻った。
先輩の使っているせっけんやシャンプーの匂いと寝間着の匂いに包まれて、心の底から落ち着くと感じる。

「先輩。起きてますか?」

小声で声をかけてみる。
見ると、うつぶせになって枕に抱き着いていた。

「遅い…テンゾウ」
先輩がそのままの姿勢で、僕を見上げた。

頬を枕に押しつけながら、上目使いで僕を見ている。かわいい。

「これでも、急いだんですよ」
寝てもいいとは言ったものの、本当に寝てしまったら嫌だと思って、かなり早く出てきたつもりだったのに。

僕はベッドに入りこみ、かわいい事を言う愛しい人を胸に抱きしめる。
先輩も枕から腕をほどき、僕の背中にその腕を回す。
さっきまで眠っていたから、先輩の体がとても暖かく感じて心地いい。
先輩が僕の頬に鼻をすり寄せて、ぴたりと頬と頬を合わせた。

「来てくれてありがと…今日はもう会えないと思ってた」

先輩がいつになく弱々しい言葉をはく。

今日、何かあったんだろうか。いつもなら、こんな時間に勝手に入ったりしたらもの凄く不機嫌になるから。

「…寝顔だけ見て帰るつもりでした」
「今日ちょっとね…色々あって。…でも俺、テンゾウしか甘えられる人いないでしょ?」
先輩、僕がいなくて寂しかったんだ。きっと理由は教えてくれないけどでも僕に傍に、いて欲しかったんですね。
「朝までいますから、もう安心して眠ってください」

今日は…襲わない。僕が先輩の寂しさとか不安だとか、全部受け止めてあげる。

「…うん」
僕は先輩の髪にキスをする。

「いくらでも甘えて下さい。…僕には弱い所、沢山見せて下さい」
「…ありがとう」

消え入りそうな声で、先輩が答えさらにぎゅっとしがみついてきた。
何があったのかなんて、聞かなくてもいい。
甘えたいならいくらでも甘えさせてあげる。僕は先輩になら、どんなに振り回されたって平気だから。

先輩が、ふと口を開く。
「…シたいんだったらシてもいいよ」
「…え?」

まさか、そんな事を言うなんて思いもよらなくて驚く。
僕は、当然の事ながらもうすでに、前を硬くさせていた。
こんな可愛い先輩は、メチャクチャに抱きたいって思うけど。
でも、多分僕の事を思って言ってくれたんだと思う。先輩はしてほしい訳じゃないし、僕も無理矢理やりたくはない。
「…今日は疲れたんでしません。その代わり、朝まで僕の胸にいて下さい」

先輩が眠るまで、起きていてあげる。
「え……。うん…」

先輩は、僕が襲ってくるかと思っていたのだろう。少し戸惑ったような反応をする。

「…ありがと」

少し、照れたような嬉しいような声で先輩が言った。顔を見れないのが、惜しい所。
僕は返事をする代わりに、先輩の頬に手をやり僕の方を向かせ、その顔を真正面から見つめる。
案の定、少し顔を赤らめさせて恥ずかしそうにきゅっと唇を結んでいる。
その唇に軽くキスをして、また抱き締めて胸の中に閉じ込める。

「おやすみなさい、先輩」
「…おやすみ」

しばらくして、先輩の寝息が聞こえて来た。僕の胸で、安心したような表情で眠っている。
いつもは僕に対して、ヒドい事も言う先輩だけど。こうやってたまに甘えられたりしてくるから、先輩も僕が必要なんだって知らされる。
明日になったら、いつもの憎まれ口をたたく先輩に戻ってるんだろう。僕を振り回す、この愛おしい人
。疲れて出来ない事なんて、ある訳がないんだけど。たまにはこうやって抱き合って過ごすのも悪くない。
先輩の体も欲しいし愛してるけど、体だけが欲しいわけじゃない。
けれど、一度勃ってしまったものを戻すのはなかなか難しく眠れるはずもなくて、
結局先輩の安心しきった寝息を聞きながら朝を迎えた。


窓から強い光が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
唐突に、先輩がセットしていた目覚まし時計が鳴り響き先輩が目を覚ます。
「…ん、あれ、起きてたの」
降り注ぐ朝の光を眩しそうに手をかざしながら、僕を見た。

「先輩が起きるの、待ってたんです」

僕はもう我慢が出来なくて、そのかざしている手を取り先輩を組み敷いた。

「…いいよ」

先輩の予想外の反応に僕は驚く。
「こうなるってわかってたし。…昨日は気づかってくれてありがとね」

先輩が恥ずかしそうに、微笑んだ。

「…じゃあ優しくします」

このあと、任務だからあまり無茶はやめておこう。僕は先輩にキスを落とす。
唇を合わせ、舌を絡め合うと熱い吐息が先輩の口から漏れる。
先輩の寝間着のボタンを外して、はだけさせた。
あらわになる乳首を、やさしくなぞるとすぐにそこは硬くなって、溜め息声をだした。

「っふぅ…」

優しくつねってみると、体を仰け反らせるが唇が塞がっているから息が苦しそうだ。

目を開けると、ぎゅっと目を閉じて苦しそうにしながらも、夢中で舌を絡ませてくる。

「っ…んっ…」

僕は手を移動させ、窮屈そうにしている先輩のペニスを、寝間着ごしにそっと擦る。

「ぁっ…んっ…」
先輩が我慢できずに、唇を離した。

「っはぁぁ…っはぁ…はぁ」

うっすらと目を開きながら、僕を見上げる顔がかわいい。

「テンゾ…舐めてほしい…」僕を見つめながら、顔を紅潮させながらおねだりをする。

「…わかりました」

僕は体を移動させて、先輩の寝間着を全て脱がして自分も全部脱ぐ。
先輩の白い内股を開き、先輩のかわいいものに舌を這わせた。

「あっ…あ……」

手でそっとしごきながら、亀頭を舌だけで舐めるとどんどん先走りが溢れ出してくる。

「ああっあっ…あ…」

その量が増えるにつれ、やらしい音が響き渡り始めた。
そっと先だけをくちに含み、くちゅくちゅとわざと音を立ててしゃぶる。

「…あっ…恥ずかし…い」
手で顔を隠しながらも、気持ち良さそうに喘いでいる。

「かわいいですよ…先輩」
根元までくわえこみ、舌を這わせながら動かす。先輩のペニスがかわいくて仕方がない。
下へと垂れる僕の唾液を、指ですぐそこにあるかわいいケツ穴に塗りたくる。

「あっあ…やっ…あ…」

指をそっとあてがうと、先輩の体が波打つ。
同時に責められるとすぐいっちゃうんだけど、こうされるのが先輩は大好きだから。

指を侵入させると、体を大きく仰け反らせて喘ぐ。

ゆっくりと押し開げ、慣れてきた所でピストンさせる。

「あぁっあっ…はぁ…テンゾウ…イキそ…う」

先輩が大きく喘ぎ、僕の口内にねっとりと先輩の精液がからみつく。
それを舌で味わいながら、僕はすぐに先輩のケツ穴に自分のペニスを当てがう。
イったばかりなのに、当てがっただけで溜め息をもらす先輩。
ゆっくりと、まずは先だけ挿入させる。

「ぁ…」

先輩を見ると、うっとりしたような目をして僕を見ていた。
僕はもっと腰を押し進める。ぴったりと僕のものに張り付いて圧迫してくる。

気持ちいい。入りきった所で、僕は先輩を抱き締めた。

]「はぁ…はぁ…」

先輩が、僕にしがみついた。

「…先輩の中、熱くって…はぁ…すぐイっちゃったらすみません」

そう言うと、僕の首に唇を合わせてきつく吸う。
先輩が僕に、わざとしるし付けるなんて滅多にしないこと。

「…いいよ。テンゾウがよかったら…俺もいいから」

「…先輩、愛してます」
僕は目の前がクラクラしそうになり、夢中で腰を動かした。
「あぁっあっ…あっ…テンゾっ・・」

先輩がかわいく喘ぐ。先輩がぎゅっとしがみつく背中に軽い痛みが走った。

こんなにも愛おしく思える人なんて、他にいないだろう。
僕はもっと奥を突き上げる。もう限界。
「…先輩…っ……っ」
「…テンゾ…」
かわいい人をぎゅうっと抱きしめて、僕はその奥にたっぷりと注ぎ込んだ。


「先輩、任務大丈夫ですか?」

息を乱している先輩に言う。

「大丈夫。…テンゾウは、俺帰ってくるまで寝てていーよ」

任務明けで寝てない僕に、キスをして先輩は起き上がる。
時計を見ると、1時間程経っていた。

「…はい」

先輩は枕元に置いてあった服に、手早く着替えて僕を覗き込んだ。

「じゃ、行ってくるね。…あと、さっき言えなかったけど…」
先輩が、恥ずかしそうにして口ごもる。

「なんですか?」
僕はベッドから手を伸ばして、覗き込んでいる頬に手をやった。

「…。…俺も愛してるから」

先輩がそう言って、僕にキスをした。僕は嬉しくて、顔が緩む。
その後、先輩は顔を真っ赤にして出て行った。
僕はその後ろ姿を見届けて、幸せな気分で眠りについた。

帰ってきたら、やっぱりいつもの先輩に戻ってるのかな。なんて思いながら。