in the flight





あめ玉 1 5














机の両向かいに置かれた座椅子に座って、案内してきてくれたお店の人が飲み物を聞いてくる。
お茶で・・・と言いかけた僕の言葉を遮ってビールを頼んだ先輩に唖然としてしまった。

「あ、あと一緒に焼酎をボトルで。グラスもふたつ、お願いね。何度も頼むの面倒だから」
「先輩、お酒なんて・・・」
「だーいじょうぶだって。それに普通、退院祝いって言ったら飲むでしょ」

そう言って、すぐに運ばれてきたビールを持ち上げた。
その顔はニコニコと嬉しそうで、まぁ本人が大丈夫って言ってるんだからそうなんだろうと思い直し、乾杯をした。

「退院おめでとうございます」
「・・・ありがと」

照れくさそうに先輩はそう言って、ビールをごくごくと一気に飲んでしまった。
うまいと一言云ってから、僕をじっと見つめる。

「・・・なんですか?」

口布を降ろしているから。普段は隠れている口元に、やっぱりドキドキしてしまう。
ビールで濡れた唇が光っていて、こんな風に見つめられたら、食事なんてどうでもよくなる。

「いや、別になんでもないよ。好きだな〜って見てただけだから」
「・・・!」

いきなりの大胆な発言に、飲んでいたビールを吹き出してしまいそうになった。
先輩が積極的なのはチャクラ切れの時だけなのかと思っていたのだけど・・・。
これじゃ、心臓がいくつあっても足りない。

「ねぇ。そっち行っていい?」
「なっ・・・」
「いいでしょ。離れすぎてて、寂しいから」
「でも食事できませんよ」
「テンゾウが食べさせてくれたらいいでしょ?」

そう言って先輩はオロオロしてしまっている僕にはお構いなく、
さっと立ち上がって僕の傍に来たかと思ったら。
テーブルと僕の間に入り込んできたから思わず足を崩して伸ばすと、
僕の足の間に腰を降ろしてしまった。

「こんなんじゃ、本当に食事なんて・・・」
「べたべたするの、嫌?」
「そういう訳じゃないですけど」
「ならいいでしょ。昨日はあの後、お預けになっちゃったんだし」

昨日と言われて、店に入ってからすっかり忘れていたその事をまた思い出してしまった。
僕に体を預ける先輩の体の重みを感じていたら、もう本当に抱きしめたくなって
ぎゅっと後ろから先輩を強く抱きしめる。

「そんな事言って食事どころじゃなくなっても、いいんですか?」
「ばっ・・・馬鹿、こんな所で、そんな事できる訳ないでしょ」

抱きしめて顔を埋めた首筋からは、やっぱり石けんの匂いがして
体が熱くなるのをもう止められそうになかった。

「先輩、いい匂いがする。石けんの匂いと・・・先輩の匂い」

鼻をくすぐるその匂いは甘くて、もっと嗅いでいたいと思って口からも吸い込んでみる。
すると先輩はびくんと体を震わせて、抱きしめている僕の手をぎゅっと掴んだ。

「っ・・・息・・・くすぐったい・・・」
「・・・誘ってくれてるんですよね?もう僕は我慢しないですよ。・・・先輩が、僕の事好きって言ってくれたから」

そう言って布越しに唇を押し当て甘噛みすれば、更に僕の腕を強く掴む。
先輩の反応が嬉しくて可愛くて、もう止められそうにない。
抱きしめている片方の腕を下に降ろして先輩のものに触れようとしたら、拒まれてしまった。

「ん・・・っ、こんな所で、嫌だ・・・っ」

僕の気持ちとは裏腹に、先輩はもがくように僕の腕から逃れようとした。
・・・誘ってくれたんじゃなかったんだろうか。
そう思って首筋から唇を離せば、先輩は大人しくなって。

「お前、強引すぎ・・・」

と、呟くように言った。その耳は真っ赤で、きっとその顔も同じように赤くなっているんだろう。

「すみません。てっきり僕は、先輩も望んでいるのかと」
「こっ・・・こんな所で出来る訳ないでしょ!隣の部屋にも人がいるんだし・・・」
「じゃ、じゃあ・・・本当にご飯食べさせてもらおうと思ってただけなんですか」
「・・・お前がどうするか、反応見てみたかったってのもあったけど。このあいだと全然違うから、驚いた・・・ごめん」
「あたり前じゃないですか・・・。でも、わかりました。今は我慢しますよ」

そう言って僕は、大きく深呼吸をした。
火照った体の熱を逃がそうと試みる・・・けれど、腰に集中してしまった熱は簡単に収まってくれそうには無かった。

「・・・できるの?」

そう言って先輩はくるりと体の向きを変えて、上目使いで僕を見上げた。
その熱っぽい表情に心臓がまた弾んでしまい、我慢できそうなものもできそうに無くなってしまう。
それに、あまりにも距離が近過ぎる。

僕は先輩の肩を掴んで少しだけ引き離し、もう一度深く息を吐く。

「すみません、ちょっと頭冷やしてきます」

そう言って立ち上がろうとしたら、先輩の腕が僕の首を絡めとり
そのまま唇を押し当てられた。

「・・・っ!」

驚いて目を見開けば、銀色のきれいな髪が視界に飛び込んできた。
これは・・・どういう事なんだろう?

こんな所で出来る訳が無いと怒ったのに、なんでキスなんか・・・と疑問に思ったけれど、
そんな疑問はすぐ先輩とキスをしている内に、どうでもよくなってしまった。
深く入り込んできた先輩の舌を絡めとり吸い上げれば、熱っぽい息が漏れ出す。

「ん・・・ん・・・っ」

先輩との濃厚なキスに夢中になっていたら、強く絡まっていた先輩の腕がするりと解かれて。
キスをしたままその手は僕の下半身に伸びていく。
形を確かめるように撫でられて、思わずキスをしていた唇を離してしまった。

「・・・先輩?」
「ほんとはちゃんとしたいんだけど・・・我慢してもらうのも悪いなって思って」

誘ったのは俺だし。と、そう言って、先輩の冷えた手がするりとズボンの中に入り込んだ。

「・・・っ・・・でも」
「今日は俺の退院祝いでしょ?好きなようにさせてちょうだいよ」

そう言って先輩は下着の中に手を入れて、僕のを引っ張り出す。
先輩の長い指先が、今僕のに直接触れているのかと思うと更に熱が集まった。
触れられているだけなのに、すごく気持ちがいい。

先輩の指が僕の先端をくるくると撫で回すと、溢れ出した液体が卑猥な音を立てる。

「っ・・・は・・・ぁ」

僕がたまらずに溜め息を漏らせば、そこをぐりぐりと、親指で押し付けるようにして刺激された。

「・・・気持ちいい・・・?」
「はい・・・。でも、やっぱり先輩にも・・・気持ちよくなってもらいたいです」

いくら先輩の好きなようにさせてあげたいっていったって。
僕ばっかり気持ちよくさせて貰ってるんじゃ、やっぱり納得できない。

「俺はいいって・・・!」
「よくないです」

そう言って先輩のに触れてみれば、パンパンに膨れ上がっていて。
こんな状態で何もしないで終わるなんて、そんな辛そうな事先輩にはできない。

「一緒にだったら・・・いいでしょう?」
「あ、や・・・待って」

そう言って拒もうとする先輩の手が伸びてくるより先に、僕はズボンの中から先輩のものを取り出して見れば、
トロトロと僕のとは比べ物にならない位に蜜が溢れ出していた。
先輩がしてくれたのと同じように触れてみれば、ビクンと跳ね上がる。

「あっ・・・ぁ・・・」
「先輩、声抑えて」
「無理・・・っ・・・だから、俺はいいって・・・言った・・・っ!」

少し苦しくなってしまうかも知れないけれど、声が外に漏れ出すのを防ぐ為には
唇を塞いでしまうほか思い付かなかった。

先輩のをゆっくりと扱き始めれば、溢れ続けている蜜が水音を立てた。
先輩は苦しそうに息継ぎをしながらも、同じように僕のを扱いてくれる。
気持ちよくて頭がぼんやりするのは、息継ぎも上手くできないほど深く濃厚なキスを
しているせいもあるかもしれない。
このまますぐに達してしまいそうだけど・・・それじゃあ部屋を汚してしまう。

僕は唇を離して扱いている手も止めた。
荒い息をしながら先輩が僕を、ぼんやりした目で見つめている。

「・・・口でしてもいいですか?」

僕がそう言えば、先輩はその顔を更に紅潮させた。
返事を聞く前に僕は体を移動させ、先輩の足の付け根に顔を埋める。
目の前に、もう今にもはち切れそうな程に硬く膨張した先輩のがあって。
僕はその溢れ出している蜜をぺろりと舐めて、一気に口内へと飲み込んだ。

「やっ・・・あ、ぁっ、待っ・・・て・・・」

先輩はぎゅっと僕の肩を掴んで、強い力で引き離した。

「舐められるのは嫌ですか?」
「そうじゃない。・・・俺も・・・」

そう言って先輩にそのまま肩を押され、畳の上に転がってしまった。

「一緒にイキたいし・・・声、我慢できないし」

そう言って、体の向きを反対に向けてさっさと僕のを咥え込む。
普段は低めの体温なのに、今は先輩の体はとても熱い。
そしてその口内も、絡み付く舌も、溶けそうなほどに熱かった。
少し動かされただけで、急速に射精感を感じてしまう。

僕も目の前にある先輩のものを飲み込み、唇で締めながら上下に動かしたら。
僕のを咥えたままで、先輩が喘ぐものだから。

「っ・・・先輩・・・声・・・っ」
「んっ・・・んん・・・っ!」

何か答えてくれているらしいのだけど、何を言おうとしてるのか分からなくて。
その声が振動となって、刺激してくる。
気持ちよくて我慢がもうできないから、手を根元に添えて射精を促せば
一段と大きなうめき声を上げた後、僕の口内に先輩の欲が吐き出された。
そしてすぐに僕も射精する。

喉に絡み付く濃い先輩の精液を、味わいながら飲み干してからもう一度咥えなおして、
残っている精液をきれいに舐めとってあげたら。
また同じように、先輩も僕のをきれいに舐めてくれた。



ぐったりとしたままの先輩を、抱きしめてあげたい。
僕は体を起こして、肩で大きく息を吐いている先輩の髪に触れた。
すると先輩は照れくさそうに笑って、体を起こして僕にぎゅっと抱きついてきた。

「・・・好きです」
「俺も」

抱きついてきた先輩を強く抱きしめ返せば、ふんわりと先輩の匂いがまた鼻を掠め、
それはさっきよりもずっと甘く感じた。








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