in the flight






いつでも








久しぶりに先輩が家に泊まった日の朝。
お互い任務に出るのは昼過ぎだから、朝食を食べた後は二人だけの時間を楽しんでいた。

お茶を淹れて部屋に戻ると、僕が離れていた間に先輩は正規服に着替えてソファで本を読んでいた。
持っていく忍具の確認もしていたのだろう、机の上にクナイや縄、起爆札などが並べられていた。
正規服の先輩は肌の露出がきわめて少ない。でもチラチラと覗く白い手首や足首に任務中でもドキリとしてしまう事がある。
きっと先輩はそんな風に見られているなんて思ってもみないだろうけど、僕はこの格好の先輩が一番そそられる。
暗部服の無防備に晒された先輩の肩や腕には随分悩まされたけれど、逆に隠されているからこそ覗き見たい、触れてみたいと思ってしまうのだ。

「先輩、お茶どうぞ」

後ろから声をかけると、ん、と軽く返事をして肩越しに手だけを僕の方に差し出してくる。
本を読んでいる時の先輩は大抵いつもこうで、僕が話しかけても上の空だ。
もうすっかり慣れてはいるから気にしないけど、もう何度も読んでいるはずの本にそこまで夢中になれるのが僕には信じられない。
お茶をその手に渡そうと思ったけれど、グローブとアンダーの袖から覗く素肌に誘われるがまま顔を寄せ、噛みついた。

「・・・っ!?」

驚いた先輩が手を引っ込む前にその手を掴み、舌の先を晒された素肌の上につつと滑らせると、先輩は呆れ顔で振り返る。

「・・・お前、なに朝から盛ってんの」
「盛ってなんかないですよ」

笑ってそう答えたけれど微かに震えた先輩の反応に、もっと触れたいと思ってしまった。
忍だとは思えない白く細い手首にうっすらと赤い歯形が残った。
先輩はなんでもないような顔をしているけれど、僕を見る目がほんのり甘く揺れている。
だけど先輩がその気になっているのかはまだ分からない。
気まぐれなのか淡泊なのかは分からないけれど、甘い雰囲気になっても今日はここまでとかなんとか言われ
お預けを喰らった事なんて数え切れない。
銀色の髪から覗く耳朶に軽く歯を立て、指先をアンダーの袖の中に滑り込ませて往復させる。

「・・・ん、・・・したいの?」

瞼を半分だけ降ろし、まるで誘っているかのような甘い声。

「えぇ。僕はいつでも」

耳元でそう伝えると可笑しそうにクスッと笑われた。

「何年も一緒にいるのに」
「そうですね・・・。でも気持ちは昔からずっと変わっていません」
「昔はもっとがっついてたよ」
「それは先輩に拒まれ続けて・・・、僕も学習したんです」
「・・・そうだったの」

と、あまり興味無さそうに先輩は言って本を閉じて横に置き口布を降ろした。
外気に晒された赤く濡れた唇が僕の唇を塞ぐ。
割り込んできた舌を絡め取り根元から吸い上げると溜め息が漏れた。
後ろからベストを開きアンダーの裾から手を忍び込ませ、胸の先端を指で転がすように撫でると敏感なそこはすぐに硬くなった。

「・・・っ、んぅ」

もどかしそうに体を捩らせ、して欲しい事を僕に伝えてくる。
口で言って貰えたら嬉しいけれどそんな事は滅多にない。
僕に余裕がある時は気付かないフリをして少しだけ意地悪する事もあるけど、余裕のある時なんてほとんど無いに等しい。
乱れていく先輩を前にすると理性を押さえつける事だけで精一杯になってしまうのだから。
手を伸ばして硬く膨れあがっているものをズボンの上から摩ると、ぎゅっと腕を掴まれる。
そのまま続けて中に手を入れ直接触れると、溢れ出した先走りでドロドロになっていた。

「ん・・・」

キスの合間に漏れるため息が次第に甘く熱いものに変わっていく。先輩の声がもっと聞きたい。
そう思いソファを乗り越えて、先輩の足下に膝をついた。
そしてズボンを脱がそうと手にかけたのだけど、太ももに硬く巻かれた脚絆のせいで片方しか降ろすことができなかった。
目の前に飛び出してきた先輩のモノは早く舐めてと言わんばかりにヒクヒクと動き、僕を誘っている。
それを眺めていた僕を促すように先輩の手が僕の髪に触れた。

「今日はいつもより乗り気ですか」
「お前から仕掛けてきたんでしょ」
「そうですけど、任務前なのに乗ってくるのも珍しい」

そう言った後ふと背後にある忍具の事を思いだし、手を伸ばして縄を取る。
怒られるかもしれない、と思いながらも先輩の手と腕をその縄で軽く縛った。
だけど先輩は目を丸くしていただけで特に何も言わなかった。

「お前・・・こういう趣味あったの」

驚き混じりの声で先輩は笑う。

「任務の時の僕は割とこんな感じだと思いますが」
「確かにそうだったな・・・。でも縛るならもっとちゃんと縛らないと、こんなの子供でもすぐ抜けれる」
「はい。だって本気で縛ったら先輩怒るでしょう」
「まーね・・・。それより、早くシテくれない・・・?」

この状態で放置されてるの辛いんだけど。と、少し困ったような顔をされ参ったと僕は思った。
最初から分かってした事だけど、腕を縛ったり何をしたって主従権は先輩にあるのだ。


そんな事をふと考え苦笑いをしてから、先輩の下半身に顔を埋めた。





その後